海外サーフトリップに少し自信を持ち始めた頃、私はマーベリックスという映画に出会いました。
マーベリックスとはカリフォルニア北部にあるビックウェーブポイントの通称で、ハイシーズンにはビル4階にも相当するモンスターウェーブが出現するポイントです。
この映画はそんなモンスターウェーブに挑んだ少年ジェイの人生を実話に基づき描いたものですが、その映像から溢れ出る迫力に私は興奮を抑えずにいられなくなったのです。
それも今回はサンフランシスコからサンディエゴに及ぶ長大な旅路として。
旅の概要はこんな感じでした。
滞在期間:
2013年12月28日から2014年1月5日まで(7泊8日)
宿泊場所:
Santa Cruz Hostel(2泊)
AAE Santa Barbara Guest House(1泊)
HI-LosAngeles Santa Monica(2泊)
ITH Hostels(2泊)
費用内訳:
往復航空券/約25万円
レンタカー/約3万円
宿泊費/約2万円
食費/約3万円
雑費/約4万円
合計/37万円
年末年始シーズンでしたので航空券は高くつきましたが、宿泊先は今回もユースホステルにしたので安く楽しく過ごせました。
特にサンディエゴのTTH Hostelsはとてもフレンドリーな雰囲気でお薦めです。
雑費は駐車違反やタイヤパンクなどのトラブルがあったので少々かさみました。
通常シーズンであれば合計30万円以内で楽しめるのではないでしょうか。
マーベリックスは旅の初日にして最大の目的地でした。
サンフランシスコ空港から40分ほど車を走らせると目印となるドーム型アンテナが見えてきます。
しかし、車を路肩に止めて坂道を進んでみてもそこは行き止まり。
ジェイはどうやって崖からマーベリックスを一望したのでしょう。
私は映画との違いに戸惑いながら、やむなく崖下の歩道に降りて進んでみることにしました。
すると、辿り着いたのはビーチに広がる岩礁地帯。
その岩間に見える先こそがマーベリックスなのでした。
しかし、肉眼では遠すぎてよくわからないマーベリックス。
そんなこともあろうかと思い、私は倍率50倍の超望遠カメラを日本から持参してきました。
するとどうでしょう。うねりに浮かぶサーファーの一群が確かに見えます。
そして大波を捉えた一人が見事に滑り降りていきます。
私は無我夢中にシャッターを切ります。
これほど尊い一瞬があるでしょうか。
私はその勇姿にただ畏敬の念を抱かずにいられませんでした。
そして翌日は憧れのスティーマーレンを目指しました。
スティーマーレンはサンタクルーズを代表するサーフスポットで、映画の中でジェイがセッションを繰り広げていたところです。
さっそく石段を下りて入水してみると水温は冷たく、海面は昆布だらけ。その合間からアザラシが顔を出したりします。
アウトではローカルエキスパートが素晴らしいマニューバを描いています。
ちょうど崖の上から沢山の観衆が覗き込んでいるのでエキスパートにしてみればこれほどの見せ場はないでしょう。
また、ビギナーにしてみればこれほど緊張するサーフィンもないのかもしれません。
私はこっそりインサイドの波を選んで遊んでいました。
混雑していましたがローカルはフレンドリーで「これはお前の波だ」などと言って波を譲ってくれます。
ビギナーでも十分に楽しめる波でした。
しかし、3ミリフルスーツでは寒さがじわじわ染み入ります。
3時間もすると体が動かなくなり、私は海から上がることにしました。
それから夜が明けるとサンタクルーズからサンタバーバラまで9時間に及ぶ長大なドライブの始まりです。
右車線左ハンドルにも少しずつ慣れ始め、私には風景を楽しむ余裕が生まれていました。
ちょうど切り立った崖を縫うように道が続いており、その真下には青く深い海が広がっています。
見下ろすと吸い込まれるような恐怖。海と崖の雄大なコントラストはとにかく圧巻でした。
私はドライブの疲れなど微塵も感じることなくサンタバーバラまでの道中を楽しく走り抜きました。
それから私はさらに南へ転々としながら様々なサーフィンスポットを楽しみました。
参考までに紹介するとこんな感じです。
リンコン:
サイズはカタ程度でしたがファンなライトブレイクが次々と押し寄せていました。
ビギナーがアウトの波をとるのは難しいですが、インサイドで十分遊べました。
なお、私が波間をドルフィンスルーしたとき、その真上を本物のドルフィン3頭がジャンプ。
クリスチャンラッセンの絵を切り抜いたようなその光景は今も神秘的な記憶として脳裏に焼き付いています。
マンハッタンビーチ:
私が訪れたときはダンパー気味のバッドコンディションでしたが、のんびりにぎやかなビーチでリラックスサーフィンを楽しめました。
ハンティントンビーチ:
いわずもがなサーフィンのメッカ。アタマサイズの波がコンスタントに入っていました。
ビーチに立ち並ぶサーフショップを見るとここがサーフカルチャーの中心地であることが改めて実感できます。
ブラックスビーチ:
実はヌーディストビーチでもあるブラックスビーチ。
崖を降りてゆくと全裸のオジサンが仁王立ちしていました。
全裸のオバサン?も波打ち際を歩いていました。
ビーチの右側はヌーディスト、左側はサーファーと棲み分けされている感じでした。
サイズはカタ程度。空いていたので沢山滑れました。
この開放感ある素晴らしいビーチは個人的に大変気に入りました。
もちろんサーフィンだけでなく今回は宿も楽しみました。
特にサンディエゴの宿は陽気なルームメートばかりで最高でした。
皆でビールを飲んだり、料理を作ったりと、とても楽しいひとときを過ごせました。
良い宿には良い旅人が集まるのだと思います。
海岸に広がる人と街と海の美しい調和。
そんなカリフォルニアの情景は帰国後なお私の心を捉えて離さない記憶となりました。